声にできない“アイシテル”
「日本の空港にはご家族の方が迎えにいらっしゃるそうですよ。
桜井さんの叔母に当たる方だそうです」
アキ君が日本に帰る手続きを本人に代わってこなしていたお兄ちゃんが彼に告げる。
「何から何までお手数かけて、すいません。
山下先生には感謝するばかりです。
ありがとうございました」
「いいえ。
どうぞ、お気をつけて」
「はい」
今度こそ、アキ君は搭乗口に向う。
バッグを肩に担いで、私を見る。
「大野さん、お元気で」
私は精一杯の笑顔を浮かべる。
“桜井さんもお元気で”
―――アキ君、元気でね。
「さようなら」
“さようなら”
―――バイバイ。
―――バイバイ、アキ君。
私は彼の姿が見えなくなるまで、手を振り続けた。
桜井さんの叔母に当たる方だそうです」
アキ君が日本に帰る手続きを本人に代わってこなしていたお兄ちゃんが彼に告げる。
「何から何までお手数かけて、すいません。
山下先生には感謝するばかりです。
ありがとうございました」
「いいえ。
どうぞ、お気をつけて」
「はい」
今度こそ、アキ君は搭乗口に向う。
バッグを肩に担いで、私を見る。
「大野さん、お元気で」
私は精一杯の笑顔を浮かべる。
“桜井さんもお元気で”
―――アキ君、元気でね。
「さようなら」
“さようなら”
―――バイバイ。
―――バイバイ、アキ君。
私は彼の姿が見えなくなるまで、手を振り続けた。