声にできない“アイシテル”
 突然アメリカに行くと言い出した私に、優子さんは泣きながら怒っていた。


「おとなしそうな顔をして行動力はあるんだから、チカちゃんは!
 急にいなくなったら寂しいじゃないのよ!!」

 ぼろぼろと涙をこぼし、顔を真っ赤にしている優子さんに私は謝るしかなかった。

 もう、決めてしまったことだから。 


“ごめんなさい・・・”


 すると、私のほっぺをムギュッと思いっ切りつまむことで許してくれた。

「向こうに着いたら必ず連絡しなさいね。
 絶対よ!
 連絡してこなかったら、アメリカまでほっぺをつねりに行くからね!!」

“こんなに痛い思いをするのはもう嫌だから、必ず手紙出します”


 苦笑いをしている私に、優子さんが抱きついてきた。

「チカちゃんは話さなかったけど。
 イギリスに来たのは、絵本の勉強だけが目的じゃなかったんでしょ?」


―――あっ・・・。

 言われてビクリと肩がすくむ。






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