声にできない“アイシテル”
13章 再びイギリスへ

明かされない理由

 日本に降り立つと、俺の叔母だと名乗る女性が迎えに来ていた。

「晃君!」

 ギュッと抱きついてくる。

「もう!
 心配したのよ!
 大使館から連絡が入った時、心臓が止まりそうだったんだから!」


 人が行き交う空港でハグされるのは、かなり恥ずかしい。


 だけど、それだけこの人は俺の身を案じてくれていたのだろう。

 自分が大事にされていることがよく伝わってくる。


「すいませんでした」

 好きでテロに巻き込まれたんじゃないけど、心配かけたのは事実だし。

 俺は深く頭を下げた。


「でも、無事に帰ってきてくれて本当によかったわ」

 腕を解いた叔母さんが、俺の顔を見て嬉しそうに笑う。



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