声にできない“アイシテル”
「テロ・・・?
 記憶喪失・・・?」


 確かに、バスに乗った後の記憶がない。


 それから何があったのか。

 どうやって日本に帰ってきたのか。

 まったく覚えていない。


「目が覚めたばかりで、まだ混乱していることと思います。
 どうぞあせらないでください。
 今、ご家族の方をお呼びしますね」

 言葉を失ってしまった俺にそっと微笑みかけて、看護士は出て行った。





 しばらくして、看護士に連れられた叔父さんと叔母さんが病室に入ってくる。

「おお、やっと目が覚めたか」

「ねぇ、私たちのことが分かる?」

 2人がベッドに駆け寄ってきた。


 心配そうに俺のことを覗き込む2人に、微笑みかける。

「分かるよ。
 順次叔父さんと、理沙子叔母さんだろ」

 それを聞いて、叔父さんたちはほっと胸をなでおろした。






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