声にできない“アイシテル”
 早くチカを迎えに行こう。

 今度こそ、チカを抱きしめよう。


「俺は欲張りで、ワガママで、諦めが悪いんだ。
 チカ、覚悟してろよ」

 俺の口元がほんの少し意地悪く微笑む。


 
 さっきの頭痛の中。

 記憶が戻る前に、チカと友達になってもらおうとしたことも思い出した。

 だけど、俺が望むのは友達なんかじゃない。


 彼女であり、恋人であり。

 そして、一生を共にするパートナーとしてのチカが欲しいんだ。



 そのためには、どこまででも追いかけてみせる。

 そして必ず掴まえてみせる。



 手の平の指輪にそっと微笑みかける。

「チカに返さなきゃ」


 この指輪はチカの指にはまっていてこそ、意味があるのだ。


「絶対に見つけ出すからな」 
 
 力強く、指輪を握り締めた。


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