声にできない“アイシテル”
 そこにいたのは俺と同じか、少し年上くらいの女性。

「はじめまして。
 上田 優子です」

 見るからに優しそうで、お姉さんという感じだ。


 挨拶もそこそこに、こんなことを言い出すのは失礼だとは思ったけど。

 俺は一刻も早くチカに会いたかった。

「突然のことで申し訳ありません。
 チカに会わせていただけますか?」


 それを聞いた上田さんの瞳に、戸惑いの色が浮かぶ。


「ここにいるんですよね?」

 俺の問いかけに対し、済まなそうな顔で首を横に振る上田さん。


「そんな!?
 チカはここに住んでいるって・・・」

「正しくは“住んでいた”ですね」

 ため息をつきながら、上田さんが俺のセリフを訂正する。


「え?」

―――どういうことだ?


「あの、中で話しませんか?
 どうぞ」

 促されて、部屋に通してもらった。




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