声にできない“アイシテル”
玄関やリビングなどはどことなく寂しげで。
一人分の生活感しかない。
ざっと見回すと、壁には少し赤い顔をした上田さんとチカが並んだ写真が飾られている。
日付を見ると3週間ほど前だ。
「桜井さん。
コーヒーが入りましたので、こちらにどうぞ」
「あ、はい。
ありがとうございます」
壁から離れて、テーブルについた。
コーヒーを飲む時間も惜しくて、俺は口を開く。
「先ほど“住んでいた”とおっしゃいましたね。
チカはもう、ここにはいないということですか?」
「ええ。
少し前に引越ししたんです。
あの写真はお別れパーティの時に撮った写真なんですよ」
「それで、チカはどこに?」
今はまだ日が暮れ始めたばかり。
この近くであれば、夜になる前に訪ねていける。
そう訊く俺に、上田さんは困ったような顔で言った。
「・・・アメリカです」
一人分の生活感しかない。
ざっと見回すと、壁には少し赤い顔をした上田さんとチカが並んだ写真が飾られている。
日付を見ると3週間ほど前だ。
「桜井さん。
コーヒーが入りましたので、こちらにどうぞ」
「あ、はい。
ありがとうございます」
壁から離れて、テーブルについた。
コーヒーを飲む時間も惜しくて、俺は口を開く。
「先ほど“住んでいた”とおっしゃいましたね。
チカはもう、ここにはいないということですか?」
「ええ。
少し前に引越ししたんです。
あの写真はお別れパーティの時に撮った写真なんですよ」
「それで、チカはどこに?」
今はまだ日が暮れ始めたばかり。
この近くであれば、夜になる前に訪ねていける。
そう訊く俺に、上田さんは困ったような顔で言った。
「・・・アメリカです」