声にできない“アイシテル”

お兄ちゃんの告白 SIDE:チカ

 体がだるい。

 熱のせいで頭が少しボンヤリする。


「チカちゃん。
 大丈夫?」

 冷たいタオルをおでこに乗せてくれるお兄ちゃんが、心配そうに私の顔を覗き込む。

“朝よりは楽になったよ。
 病院の薬が効いてきたんだね”

 目元を微笑ませる私。

 その様子を見て、お兄ちゃんがほっと息を吐く。

「それなら良かった。
 何か欲しいものはある?
 水は?
 果物は?」


 こうやってお兄ちゃんはあれこれ世話を焼いてくれる。

 ちょっと甘やかしすぎじゃないかって思うくらい。
  
 今日だって仕事を休んで、病院に連れて行ってくれた。


“ごめんね、迷惑かけて”


 小さな子供じゃないんだし、一人で病院に行けたんだけど。

 お兄ちゃんが『心配だから』といって、ついてきてくれた。

 まぁ、それは心強いからありがたいんだけど。

 
 お兄ちゃん自身が体調悪くて休むならまだしも。

 同居人の私が病気で仕事を休ませてしまったのが、本当に申し訳ない。

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