声にできない“アイシテル”
―――今、なんて言ったの?

“お兄ちゃん?”

 
「チカちゃんの声を取り戻すために、俺は形成外科医になったんだ」


 私の呼びかけに、お兄ちゃんがこれまでよりもずっと強い視線で私を見る。

 強く、熱い視線。


 その視線と聞かされた話にびっくりして、私は固まってしまった。


 医者になるにはすごく、すごく大変だっていう話だ。

 勉強も、お金も。

 まして、アメリカに留学してまで・・・。


“私のため?
 なんで?
 どうして?”

 近くにあったお兄ちゃんの右腕をつかむ。

 すると、お兄ちゃんは私の手に自分の左手をそっと重ねた。
 

「―――好きだから」


 はっきりと告げられた一言にギョッとする。





―――お兄ちゃんが・・・、私を・・・好き!?

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