声にできない“アイシテル”

お兄ちゃんの想い SIDE:チカ

 翌日。

 薬のおかげですっかり熱が下がった。

 ベッドの上に起き上がっても苦しくない。


―――ノド、乾いたな。

 ベッドから下りようとすると、扉をノックする音。


 少し間があってから開いた。

「おはよ。
 具合はどう?」

 お兄ちゃんがお盆にサンドイッチとりんご、オレンジジュースを載せて入ってきた。


“もう平気・・・”


 昨日、あんな話を聞いてしまったから。

 なんとなくぎこちない顔になってしまう。




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