声にできない“アイシテル”
―――良かった、気づいてくれた!


 体はまだ動かず、俺は視線だけで必死に訴える。

―――俺がいるのに、他の男と結婚するな!!


 だけど・・・。


「私、×××さんと結婚するって決めたの」


 チカは信じがたい言葉を口にする。


 話せないはずの彼女の唇からつむがれる言葉は弱々しく。

 男性の名前が聞き取れなかった。


―――チカッ?!


「アキ君、ごめんね・・・」


 チカは寂しそうに微笑んだ。



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