声にできない“アイシテル”
―――この子はどうして、こんなに強いんだろう。


 人とは異なる自分に卑屈にならないで。
 
 こんなにも前向きでいられるなんて。


 俺とは違うな・・・。


 すっと目をそらすと、俺の視界の端に白いものが映った。

 彼女が差し出したメモだった。



“桜井先輩が図書室で言ってた友達って、圭ちゃんのことだったんですね” 




「・・・圭ちゃんて、誰?」

 俺が言うと、隣りの小山がわざとらしくガクッとこける。

「俺だよ、俺。
 圭一だから圭ちゃんて呼ばれてんだよ」

「あ、なるほど」


「なんだよ、桜井。 
 俺の名前を覚えていないなんて、ひどい奴だ・・・」

 クスン、と泣き崩れる振りをする。

 俺と同じ位背のでかい男がそんな仕草をしたって、可愛いどころか気持ち悪いだけだぞ。


「そうじゃないって。
 いつも“小山”って呼んでるから、とっさに下の名前が出てこなかっただけだ。
 覚えてないわけじゃない」


「本当か?」

 じろりと小山が俺を見る。
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