声にできない“アイシテル”
「ふふっ、冗談だよ。
 どんな指輪だっていいの。
 気持ちさえこもっていれば、金額なんて関係ないよ」


 大切なのは相手を想う心だ。


 アキ君があの時くれた指輪は、きっとそんなに高価なものではなかったと思う。

 だけど、高校生のアキ君が私の為に精一杯の愛情を込めてプレゼントしてくれた。


 その気持ちがすごく、すごく嬉しかった。



―――・・・あ、もう私ったら。
   アキ君のことは関係ないのに。


 何かあるとこんな調子で困ってしまう。

 私がトオルさんだけを考えられる日が来るのだろうか。


―――ううん、きっと来るよ。


 だって、トオルさんはこんなにも私を愛してくれている。


 だから、私もトオルさんを愛せる日が来るはず。



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