声にできない“アイシテル”
「本当だ。
 嘘じゃない」

「本当に、本当か?」

「しつこいな。
 本当だって」


 散々繰り返した小山はようやく納得したらしい。

「よし、わかった。
 信じてやるから、俺にジュースをおごれ」

「やだね」

 俺はすかさず奴のおでこにチョップをお見舞いする。


「何でたかだか名前の事で、ジュースをおごらなきゃならないんだよ?」


「冗談だったのに・・・」

 クリティカルヒットしたチョップに、小山は少し涙目だ。


 そんな俺達の様子を楽しそうに見ていた彼女が、メモを差し出す。

 それを小山が受け取って読み上げた。


「“仲がいいんですね。
 桜井先輩、これからも圭ちゃんをお願いします”
 ・・・って、チカちゃん違うから!
 俺が桜井の面倒を見てやっているんだからね!!」


 メモを握り締め、なぜか必死で弁明する小山に、彼女は“冗談だよ”って書いたメモを見せる。


 図書室の時もそうだったけど、この子はなかなか茶目っ気があるみたいだ。
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