声にできない“アイシテル”
「ドアノブの調子が悪いのかな?」

 閉めようと手を伸ばした時、ベッドに横たわる誰かの姿が目に入った。


 具合の悪い父親が寝ているのだろうか?


 でも、その隣りにもう1人いる。
 

―――何でお母さんまで寝てるの!?


 なんだか嫌な予感がして、音を立てずにそっと室内に入った。









「ねぇ」

 2人に向かって声をかけるけど、反応はない。


 ゆっくりとベッドに歩み寄る。


「お父さん。
 お母さ・・・!?」

 ベッドのすぐ脇まで来た時、俺は言葉を飲み込んだ。
 


 そこにいたのは、首にロープが食い込んで顔が紫に変色した母親。


 青白い顔をして、胸に包丁が突き立てられていた父親。




そして枕元には

『晃、ごめんな』

『許してね』



 父親、母親それぞれの字で書かれた短いメッセージ。
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