声にできない“アイシテル”
 俺たち3人は体育館傍の階段までやってきた。

 1年は1階、3年は3階に教室がある。


「じゃあね、チカちゃん」

 小山が彼女に手を振る。

 それに応えて、彼女が手を振り返す。


 俺はこの前と同じように軽く頭を下げた。




 俺と目が合った彼女はほんの少し迷った顔をしたけど、小さく手を振ってくれた。

 はにかんだ笑顔と共に。



 この前はただの先輩と後輩だったけど、今日は顔見知りとしてあいさつしてくれたんだ。


 俺の心がなんとも言えない温かいものに包まれた。
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