声にできない“アイシテル”
 途方にくれていると、先に山下さんが口を開いた。

「だから、賭けに出ようと思います」

「え?」

「彼女の退院日、正式にプロポーズをします。
 この先どうしたいのか、チカちゃん自身に決めてもらいましょう」

「プロポーズ…ですか?」

「はい。
 自分が選ばれる可能性は100%ではないので、不安はあります。
 でも、こっちとしてもはっきりして欲しいので」


 俺が選ばれるのか。

 山下さんが選ばれるのか。


 それはここにいる俺達には分からない。



―――確かに賭けだな。


 自分が望まぬ結果が出た時のことを一瞬想像して、背筋が冷たくなった。






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