声にできない“アイシテル”
彼が言うのは、退院の日に指輪を買いに行くといった話のことだろう。、
―――忘れてなんか、ないよ。
私は黙ってうなずいた。
すると、トオルさんはふっと表情を和らげる。
「それならよかった」
小さく微笑んで、私の正面に立った。
「チカちゃん」
名前を呼んで、彼は私の左手を両手でそっと握る。
その様子を見つめる私。
「この薬指にはめる指輪を、受け取ってくれる?」
穏やかな口調。
優しく包みこむような視線。
だけど、ピリピリと痛いくらいにトオルさんの本気の想いが伝わってくる。
―――忘れてなんか、ないよ。
私は黙ってうなずいた。
すると、トオルさんはふっと表情を和らげる。
「それならよかった」
小さく微笑んで、私の正面に立った。
「チカちゃん」
名前を呼んで、彼は私の左手を両手でそっと握る。
その様子を見つめる私。
「この薬指にはめる指輪を、受け取ってくれる?」
穏やかな口調。
優しく包みこむような視線。
だけど、ピリピリと痛いくらいにトオルさんの本気の想いが伝わってくる。