声にできない“アイシテル”

当日

 とうとう本番の日がやってきた。

 朝から雲1つない快晴。

 爽やかな風が吹いて、体育祭にはぴったりの天気だ。


 俺がエントリーした個人種目は綱引きだけだから、そんなに目立たないし。

 それに、教科書を広げて座っている授業よりも、体を動かせるほうが楽しい。

 今日一日は楽しい気分で過ごせそうだ。


 ・・・が、油断はできない。


 一応席は各自クラスごとにまとまっているけど。

 競技が始まってしまえば応援に紛れてクラスも学年も入り混じる。

 そうなると、女子が周りにやってきそうだ。


 体育祭という非日常的な雰囲気で、女子達のテンションは上がっている。

 そんな奴等に囲まれてみろ。

 たちまち俺の精神的疲労はマックスになること確実だ。


 なので、俺は周囲をクラスの男子でがっちり固めた席にいた。



 呼ばれても聞こえない振りを貫き。

 参加した綱引きも地味にこなし。



 残すプログラムは3年のクラス対抗リレーのみ。

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