声にできない“アイシテル”
「トオルさん?」

「最初は桜井さんの代わりでもでもいいかなって思ってたんだけど。
 俺、意外とプライドが高いみたいでね。
 2番目ってのは面白くないなぁ」


「え?
 あの?」

 話の内容が見えない。


 オロオロとする私をよそに、トオルさんは一人で話を進める。

「だから…。
 俺、降りるよ」

「降りるって何?」


 ますます混乱してくる私に彼が言う。。

「チカちゃんの旦那候補から降りるって事」



「…は?」

 私は大きく目を見開いた。

「なんで?!
 どういうこと?!
 この後、一緒に指輪を買いに行くんでしょ?」


 別に指輪をねだるわけじゃないけど。

 私はトオルさんのプロポーズに応えたんだから、それなりの形を示して欲しい。


 トオルさんのほうから『指輪を買いに行こう』って言い出したのに。


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