声にできない“アイシテル”
「…いいの?
 私、そばにいても…いいの?」

 自然と涙が溢れて、声が震える。


 そんな私にアキ君がちょっとだけ怖い顔をして、
 
「何、馬鹿なこと言ってんだよ。
 当たり前だろ。
 チカは俺のそばにいないとダメなんだからな」

 と言った。

 そしてすぐに優しく笑ってくれる。


 私の心を丸ごと包んでくれる、優しくてあったかい笑顔。

 2年前と、何一つ変わっていない。


「うん。
 うん…」

 私は何度もうなずいた。




 コツン、とおでこ同士を合わせて、アキ君が切ない声で囁く。

「もう放さないから。
 二度と勝手にいなくなるなよ」


 すぐ近くにある彼の顔が、涙でぼやけてよく見えない。


「相変わらず、チカは泣き虫だなぁ」

 アキ君がほっぺを指でぬぐってくれる。


 そういう彼の瞳にもうっすらと涙が浮かんでいた。
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