声にできない“アイシテル”
「チカちゃんに明るい笑顔が戻って、本当によかった」

「それはトオルさんのおかげだよ。
 ありがとう」


 精一杯の感謝を込めて、私は微笑んだ。


『ごめん』じゃなくて。

『ありがとう』と言った。 



 その様子をトオルさんは目を細め、まぶしそうに見ている。


「いい顔だなぁ。
 …あぁ、やっぱり悔しい!!」


 大きく騒いだトオルさんは、さっとアキ君を見る。

「ちょっといいですか?」

 手招きをして彼を呼び寄せる。


「はぁ…」

 アキ君は軽く首をかしげながら、呼ばれるままにトオルさんの1歩手前に立つ。


 するとトオルさんはニコッと笑った。

 かと思ったら、アキ君のお腹をいきなり殴ったのだ。




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