声にできない“アイシテル”
「うっ…」

 うめき声を上げて、アキ君が上体を折る。


「えっ!?
 アキ君、大丈夫!?」


 私は急いでアキ君に駆け寄った。

 彼は眉をひそめながらお腹をさすっている。


「トオルさん、酷いじゃない!
 どうしてこんなことするの?!」

 アキ君をかばうように抱きしめながら、トオルさんをキッと睨む。


 私が睨んでも、トオルさんは謝ろうとしない。

「だって、約束だから」

 ニコニコと笑うトオルさんは、悪いことをしたとはまったく思っていないみたい。


―――いったい何なの?

 一連のトオルさんの言動がさっぱり分からない。


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