声にできない“アイシテル”
「チカ。
 俺を好きになってくれてありがとう」

「アキ君。
 私を好きでいてくれてありがとう」


 
 私とアキ君が生まれ。

 そして出逢い、恋に落ちた。


 1度離れてしまったけれど。

 また、出逢えた。


 今ここで、私が再び『アキ君』と呼べるようになったのは、たくさんの人たちのおかげ。

 トオルさんはもちろん、人口声帯の開発に関わった人。

 リハビリの先生。


 傷付いた私を温かく見守ってくれた優子さん。 


 アキ君の会社の人も、きっと何かをしてくれていたはず。


 把握しきれないほどのたくさんの人たちが、私たちの再会に関わっている。

 

 私一人では、再会は叶わなかった。

 私一人では、アキ君とまた笑いあえなかった。


 たくさんの人の巡り合いの結果に生まれた奇跡。

 その奇跡の結果に掴んだ幸せ。

 

 ありがとう。

 ありがとう。


 感謝します。
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