声にできない“アイシテル”
エピローグ

SIDE:アキ

 日本に帰ってきてから、まずはチカの家に向った。


 約2年ぶりの我が家に、チカは恐る恐る玄関を開ける。

 すると、お父さんとお母さんが見下ろすように立っていた。


「親をむやみに心配させるんじゃない!」

 詳しい行き先も知らせず、イギリスに旅立った娘のことを一喝したお父さん。


「ご、ごめんなさい…」

 肩をすくめるチカを見て、お父さんが苦笑する。


「まぁ、無事でなによりだ」

 そう言って優しくチカの頭を撫でる。


「小さい頃から思い切った行動を取るのよね、この子は。
 でも、自分なりに考えてのことだったんでしょ?」

 お母さんは同じ女性として、理解するところがあったようだ。


 チカのお父さんもお母さんも彼女が話せるようになったことに、ものすごく驚き。

 そして、ものすごく喜んだ。





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