声にできない“アイシテル”
「いえ、そんなっ。
 頭を上げてください!」

 チカがあわてて声をかける。

「もう終わったことですから。
 それに、会社を守るためにそうするしかなかったお2人の気持ちはよく分かってます。
 お願いです、頭を上げてください」


 そう言われて、叔父さんたちはようやく姿勢を戻した。

「ありがとう、チカさん」


 チカは優しく微笑んで、ゆっくりと首を横に振る。

「いいんです。
 アキ君が迎えに来てくれた事で、私は救われたんですから」


「そう言ってくれてありがとう」

 もう1度お礼を言った叔父さんは、次に俺へと目を向ける。

「晃にも悪い事をしてしまったな」

「勝手な事をして、ごめんなさいね」

 叔母さんも俺に向き直って頭を下げる。


「ったく、本当だよ。
 チカがいなくなったと分かった時、俺がどんなにショックだったか…」

 吐き出すように冷たい口調で言うと、2人は目を伏せた。


「晃、悪かった…」

「悪かったじゃないよ。
 一生許さないからな!」

 俺の言葉に叔父さんたちは体を小さくする。
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