声にできない“アイシテル”
「すまなかった」

「晃君、ごめんなさい」


 何度も謝罪を繰り返す2人を見て。

 そして横でオロオロするチカを見て、俺はフッと小さく笑う。

「…なんてね。
 本当はもう、叔父さん達のことは許してるよ」


「え?
 晃?」

 驚いた顔でじっと俺の顔を見る叔父さんと叔母さん。


「そりゃ、叔父さんたちのせいでチカがいなくなった時はめちゃくちゃ腹が立ったよ。
 でもさ、チカが許す事を教えてくれたんだ」


 黙って事の成り行きを見守っているチカの手をそっと握った。

「許すこと。
 感謝すること。
 チカといることで、俺は人として大切な事をたくさん学んだよ。
 こんな素敵な女性は世界中探し回ったって、チカ以外いない」


 握った手にきゅっと力を入れる。

 俺を見つめるチカに微笑みかけ、そして正面を向く。


「俺達、結婚するから」

 はっきり告げる。


 すると、叔父さんたちの目にうっすらと涙が浮かんだ。

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