声にできない“アイシテル”
 私が桜井 チカになる日。

 永遠の愛を誓う日。

  
 大きな鏡に映る純白のドレス姿の自分を見て、これは夢なんじゃないかって思った。

 あまりに幸せすぎて、実感が湧かなかったのだ。


 一人残された控え室で、まじまじと自分の姿を眺め。

 そして自分のほっぺをつねる。


 ちょうどその時、アキ君が入って来た。


 突然の来訪者にびっくりした私は、ピタリと動きが止まる。

 真面目な顔でほっぺをつねっている私を見て、彼は大笑い。


 私と同じく真っ白なタキシードに身を包んだアキ君。

 ドレスがシワにならないように、私をそっと抱きしめる。


「何してたんだよ?」

 くすくすと笑いながら、アキ君は私の顔を覗き込む。

「あの、えっと…。
 なんか、信じられなくって。
 もしかして、夢でも見てるのかなって思えてきて」

 私は変な所を見られた恥ずかしさから、真っ赤になって答える。


 するとアキ君は、きゅっと抱き寄せて。

「夢じゃないって。
 俺達はずっと一緒だよ」

 そう言って、はにかんだ笑顔をくれた。
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