声にできない“アイシテル”
 子供たちと挨拶を済ませたアキ君は私に目を向ける。

「ただいま、チカ」

「おかえりなさい、アキ君」


 視線を合わせる私たち。

 瞳には大きくて深い愛情が溢れている。




 その視線や笑顔で、アキ君の気持ちは伝わってくるけれど。

 アキ君にも私の気持ちが伝わっているだろけど。


 せっかく声があるのだからと、私は言葉を欠かさない。

「今日もご苦労様。
 アキ君、愛してるからね」

 目一杯の笑顔とともに、言葉を届ける。


< 554 / 558 >

この作品をシェア

pagetop