声にできない“アイシテル”
―――このまま終るのかっ!?



 諦めかけた俺は、ゴールに集まったクラスメートの中に彼女の姿を見つけた。

 小山の横で誰よりも大きなポンポンを振って、俺を呼んでいる。


“桜井先輩、桜井先輩!”

 声のない声援が俺の心に大きく響く。



―――くそっ!!

 歯を食いしばって懸命に足を動かす。


 あと3メートル。


 あと1メートル。


 あと少し・・・。




 並んだっ!!


 更に歓声が上がる。



 はるか後方にいた俺がすぐ横にいた事に驚いた7組の田中。

 その一瞬の隙に俺は前へ出た。




「キャー、桜井君!!」

 悲鳴のような歓声がグランドを覆う。



 その大音響にも耳を貸さず、ただゴールを目指す。
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