声にできない“アイシテル”
 2人に支えられて立ち上がると、クラスも学年も入り混じったみんなから拍手が送られる。


 たくさんの人の中、俺は無意識にあの子の姿を探した。

 1年生の彼女は3年と2年の波から外れたところに友達と立っていて、熱心に拍手をしていた。



―――そんなに叩いたら、手の平がかゆくなるのになぁ。

 嬉しそうな彼女の顔に、俺も嬉しくなる。


 くすっと笑みが漏れた。




「何、にやけてんだよ?」

 俺を支える小山が言う。


「え?
 ・・・ああ、別に」

 視線を彼女から外す。


「さ、俺達も席に戻ろうぜ」


 みんなの後について、ゆっくりと歩き出した。

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