声にできない“アイシテル”
　どうして２人が命を絶たなければならなかったのか？


　親戚は誰一人、両親の死の理由を教えてくれなかった。



　まだ子供の俺には受け止められないほど、衝撃的な理由なのだろうか？



　初めのうちはしつこく聞いて回っていたけど、結局分からずじまい。

　俺は諦めるしかなかった。

　
　もしかしたら、誰も真相を知らないのかも知れない。


　それに、理由が分かったところで両親が生き返るわけではないから。





『晃は俺の宝物だよ。
　なにがあっても、守ってやるからな』

『ずっと私と仲良くしてね。
　彼女の次くらいでいいから』


　うるさいと思うほど、毎日繰り返されていた両親の言葉。


　あの日が来るまでは、本気で両親の言葉を信じていたのだ。


　それなのに。



　何も告げず、俺を残して突然死んでしまった。





　俺は近くに住んでいる母方の祖父の家に引き取られた。


　そこなら学校を変えなくても済むから。








　
　両親の葬儀を終えた日から、俺は親の事を口にするのを一切やめた。



　自分に対する言葉を信用こともやめた・・・。

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表紙・目次

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