声にできない“アイシテル”
 そこにいたのは2年生の女子が1人と、彼女を取り囲むように松本と数人の取り巻き。


「あなた。
 私達に無断で桜井君に手紙を渡そうとしたでしょ?」


 そう言って松本が取り出したのはその2年生が書いたと思われるラブレター。


「あっ、私の!」

 さっと顔色を変えた2年生の子は手を伸ばしたけれど、松本は目の前で手紙を容赦なく破り捨てる。


「困るのよ。
 こういうことされると」

 ちぎった手紙をヒラヒラとばら撒きながら、松本は2年生を睨む。



「そうよ。
 桜井君に迷惑じゃないの」

「もう2度とこんなことしないで」

「私達を差し置いて、勝手に近付こうとしないでよね」

 取り巻き立ちが一斉に口を開く。


 2年生はじっと俯いたまま。



「これからはこんな勝手なマネはしないことね」



 黙りこんだ2年生に向かって松本が厳しく言い、取り巻きを引き連れてその場から去っていった。



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