声にできない“アイシテル”

妹のような存在

 気持ちがいい秋晴れの昼休み。


 グランドで小山とキャッチボールをしていた時。

 少し離れたところにある生徒用昇降口に向かって、妙な物体が動いているのが目に入った。


―――あれは・・・花束?


 花束というには結構な量。

 まるで花で出来た小さな山のようだ。 


 色々な種類がちりばめられた花たちがゆっくりと進んでいる。



 俺の視線に気がついた小山も、その物体に目を向ける。


「あ、チカちゃんだ」

 小山が走り出した。
 

 一人でここにいても仕方がないから、俺も小山についていく。



 近付いてみると、たしかに大野さんだった。
 

< 69 / 558 >

この作品をシェア

pagetop