声にできない“アイシテル”
 こんなふうに、小山は俺といても彼女のところへ行ってしまうから。

 俺もついていく事になる。


 別に、小山と一緒になって彼女の傍に行く事もないんだろうけど。


 一人で立っていると、じろじろ見られるからイヤだ。


 そんな訳で必然的に彼女と顔を合わせる機会が多い。



 俺が進んで彼女の傍に行っているんじゃない。

 小山との付き合い上、仕方なく。


 もしくは、たまたま。



 そう、たまたまだ。




 それに、あの子は女子って感じがしない。


 失礼な言い方だけど、見た目の印象から小さな女の子って感じ。

 “女”というのをほとんど意識させられないから、接しやすい。


 言ってみれば“妹”って表現がぴったりかもしれない。



 一人っ子だった俺は、ずっと弟か妹が欲しかった。


 だから、他の女子とは違って、彼女には優しくできるのかもな。



 うん、きっとそうだ。
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