声にできない“アイシテル”
ある日。
職員室から教室へ向かう途中、重そうな本を何冊も抱えた彼女に会った。
いつもなら小山がすぐに駆け寄るんだけど、あいにく奴はここにいない。
俺はよろけそうになりながら歩いている彼女に近付いた。
「大野さん、手伝うよ」
突然現れた俺にびっくりして立ち止まる彼女。
その隙に荷物を奪う。
俺は彼女の返事も聞かず、すたすたと歩き出した。
ハッと我に返った彼女はあわてて俺の手から本を取り戻そうとする。
「図書室でいい?」
俺はそれを歩きながらかわす。
彼女は急いで俺の前に回って、行く手を遮った。
そしてメモを突き出す。
“一人で運べます。
私の仕事ですから”
「誰が運んだっていいと思うけど?
それに、君が重そうに運んでいるのを見て手伝わなかったら、小山に蹴飛ばされそうだしさ」
くすっと笑って彼女の横をすり抜け、再び歩き出す。
そんな俺のあとを追って、彼女は申し訳ない顔つきをして小走りでついてきた。
職員室から教室へ向かう途中、重そうな本を何冊も抱えた彼女に会った。
いつもなら小山がすぐに駆け寄るんだけど、あいにく奴はここにいない。
俺はよろけそうになりながら歩いている彼女に近付いた。
「大野さん、手伝うよ」
突然現れた俺にびっくりして立ち止まる彼女。
その隙に荷物を奪う。
俺は彼女の返事も聞かず、すたすたと歩き出した。
ハッと我に返った彼女はあわてて俺の手から本を取り戻そうとする。
「図書室でいい?」
俺はそれを歩きながらかわす。
彼女は急いで俺の前に回って、行く手を遮った。
そしてメモを突き出す。
“一人で運べます。
私の仕事ですから”
「誰が運んだっていいと思うけど?
それに、君が重そうに運んでいるのを見て手伝わなかったら、小山に蹴飛ばされそうだしさ」
くすっと笑って彼女の横をすり抜け、再び歩き出す。
そんな俺のあとを追って、彼女は申し訳ない顔つきをして小走りでついてきた。