声にできない“アイシテル”
 小学校の卒業文集に書いた“将来の夢”は、アナウンサーと、バスガイドと、幼稚園の先生。

 1つに決められなくて、3つも書いた。


 テレビの中ではきはきとニュースを読んでいるアナウンサーを見て、カッコいいと思った。


 景色を見ながらすらすら説明してくれるバスガイドさんを見て、素敵だと思った。


 楽しく歌を教えてくれた幼稚園の先生を見て、あこがれた。




 だけど。



 声が出ない私には、手が届かない夢になってしまった。





 『諦めなければ夢はかなうよ』って、ずいぶん前に学校の先生に言われた。

 でも。

 こんな私じゃ、どんなに頑張ったってダメなんだ。



「う、ううっ・・・」

 私は頭から布団をかぶった。

 そして泣いた。



 泣いて、泣いて。

 体の水分が全部涙になってしまうくらい、泣いて。



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