声にできない“アイシテル”
 圭ちゃんは・・・お母さんよりもボロボロ泣いてた。


「チカちゃん。
 退院したら前に行きたいって言ってたケーキ屋さんに連れて行ってあげるからね。
 元気になるの、待ってるから」

 圭ちゃんが涙を拭きながら小指を出してくる。


「絶対だよ。
 約束だからね」

 私も小指を出して、指切り。

 


 その日、面会時間が終るまで4人でたくさん話した。


 帰るときに圭ちゃんが

「声が出なくたって、チカちゃんはチカちゃんのままだよ」

 と言って、頭をなでてくれた。




「うん」

 泣きそうだったけど、私は精一杯の笑顔を返した。
 
 

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