イケメン貴公子のとろけるキス
「ありがとう……」
恥ずかしい気持ちはもちろんあったけれど、拒む理由もない。
髪をまとめ上げて、ルカに背中を向けた。
早く留めてくれればいいのに、指先の動きがやけにゆっくりと感じる。
焦らすように、期待を持たせるように、背中に感じるルカの視線には身体がすくみそうになる。
気のせいだと自分に言い聞かせても、それはまったく効力がなかった。
「……綺麗だよ、ミナ」
大きな三面鏡に映る、ルカと私。
うしろから肩を抱かれて、鏡越しに見つめられて、気を確かに持つことさえ困難になる。
「ミナ、誕生日おめでとう。それは、僕からのプレゼントだ」
「……え?」
急に掛けられたお祝いのメッセージだった。
私の誕生日なんて……どうして知ってるの?
驚きと疑問でいっぱいだった。
でも、それならフライングだ。
私の誕生日は明日なのだから。