イケメン貴公子のとろけるキス

「日本時間では、ちょうどミナの誕生日を迎えた頃だよ」


そっか、なるほど。
世界中の誰よりも早い、ハッピーバースデーのお祝いメッセージだ。

ちょっとしたことにもかかわらず些細なサプライズは効果絶大で、ルカを見つめる目につい熱がこもってしまう。


「ルカ、ありがとう」

「一番にミナにおめでとうって言えて、僕も嬉しいよ」


優しく微笑まれて、顔の温度が急激に上昇した。

――そうだ。
そこで大事なことを思い出した。


「ルカ、私もね、プレゼントがあるの」

「え? 僕に?」


驚いて目を見開く。
ヴァチカン市国ツアーの帰りに立ち寄ったお店で、ルカに似合いそうなネクタイを見つけて、つい衝動的に買ってしまった。
ラッピングされた包みを開け、ルカが嬉しそうに首にあてる。


「なんだか、お揃いみたいだ」


薄いブルーのネクタイ。
それは、ルカが私に買ってくれたワンピースと同じ色だった。

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