イケメン貴公子のとろけるキス
眼下に広がるローマの夜景はオレンジ色に光って、どことなく温かく感じさせる。
冷蔵庫から出したロゼが、ほんのり酸っぱく感じるのは、ルカの甘い視線のせいだ。
どうして、たったの三泊なんて日程にしちゃったんだろう。
休みは一週間も取れたのに。
そうすれば、あと二晩はルカと一緒にいられたはずなのに。
「ミナ……」
ルカがそう呼んでくれるのも、優しく私の髪を撫でてくれるのも、たぶん私たちに時間がないから。
ルカにとっては、ほんの気まぐれな一夜に過ぎないから。
でも、それでもよかった。
離れてしまうのなら、それまでの時間を大切に過ごそう。
「ミナ、また日付が変わるよ」
腕時計を確認しながら、ルカがカウントダウンを始める。
「……誕生日おめでとう。日本時間とイタリア時間、二度もミナの誕生日を祝えるなんて、僕は本当に幸せだ」
「ありがとう、ルカ……」
誕生日を一緒に迎えた男女は、口づけを交わすんでしょ?