イケメン貴公子のとろけるキス
それなら、私からキスをしても……いいんだよね?
ルカに向き直り、意を決する。
「ルカ……」
私がなにをしようとしているのか察したのか、ルカが私の手を取って引き寄せる。彼の膝の上に横向きで座る体勢になると、私は彼の首に腕を巻き付けた。
ゆっくり顔を近づけていく。
ルカは目を逸らさず、胸が震えるほどに熱い視線を投げかけてくれていた。
大きく膨れ上がったルカへの想いを唇に乗せて、そっと口づける。
軽く触れるだけ。
そう思っていたキスは、一度触れたら止められなくなって、次第に深くなっていく。
ロゼの甘い香りが鼻先をかすめて、気分をさらに高揚させる。
幾度となくキスを交わしていると、ルカが不意に私を抱き上げた。
「ミナ……」
ルカが耳元で甘くささやく。
私に断る理由はない。
されるがままベッドに横になると、漏れる吐息が重なり合った。
背中のボタンを外すのももどかしい。
いつもは余裕なのに、ルカの指先が震えているのが分かった。
身体が熱いのは、ロゼのせいじゃない。
ルカの溶けるような甘い眼差し、優しく触れる指先、ルカの存在、全部の仕業だ。
分かっているんだ。
一夜限りだからこそ、この瞬間が愛おしいんだということは。
旅先という開放的な気分がそうさせていることも。
それでも一秒さえ無駄にしたくなくて、身体の神経すべてでルカを感じた。