イケメン貴公子のとろけるキス

これじゃ、はた目から見て肯定を意味してるも同然だろう。
それがわかるからこそ、余計に顔を上げられなくなった。

食べ終わったみんなが思い思いにテーブルを去り、滝本くんひとりがコーヒーを飲み続けていた。


「ね、滝本くん。イタリアの男の人って、みんなが言ってたように日本人女性に狙いを付けてるもの?」

「狙いを付けるって?」


聞き返されて困ってしまった。

なんて言えばいいのかと言葉を探る。
滝本くんは細い目を見開いて私を見ていた。


「……例えば、身体目当てとか」


口にするのも恥ずかしくて、小さくボソボソと言ってみる。

すると滝本くんの目が途端に鋭いものとなった。
ただでさえ一重瞼で涼やかだというのに。

もしかして、私のひとことでなにかを察してしまったか。
滝本くんは向かいの席から身を乗り出した。


「みんながみんな、そうだとは限らないだろ」

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