イケメン貴公子のとろけるキス
「……かな」
滝本くんの言葉にひと筋の光明が射す。
ルカは違う。
そう思いたい気持ちの救世主みたいなものだった。
「ただ、日本人のガードが甘いってのは、本当にそうだと思う。旅先で浮かれるのもわかるけど」
耳が痛かった。
私もその“ガードの甘い女”のひとりかもしれない。
初めてのひとり旅で不安いっぱい、隙なんて見せるものかと思っていたはずが。
「イタリア人に限らず、外国の男は女を乗せるのがうまいってのもあるな」
そう言われて、思い当たることはたくさんあった。
空港に迎えに来てくれたときから、ルカのフェミニストぶりに気持ちがふわふわと浮足立ったのは確か。
優しい扱いをされて、私はルカの特別だと勝手に思った節もある。
「で? 向こうでそういうことがあったのか」
滝本くんが核心を突いたものだから、一瞬のうちに勢いよく吸い込んだ空気が喉の変なところに入り込んだ。
豪快にむせる。