イケメン貴公子のとろけるキス

「そうみたいね。私もついさっき聞いたばかり。また一緒に仕事ができるとは思わなかったわ」


小夜さんは嬉しそうに言いながら、再びパソコンのマウスを握った。
どこか弾んだ指先が、カタカタと軽い音を立ててキーボードの上を舞う。


「でも、まさか本当に日本に来るなんて。ルカもなかなかやるわね」


ひとり言のように小夜さんがつぶやいた。


「どういう意味ですか?」

「え? あ、うん。ルカね、日本で仕事をしたがっていたの」


私が聞いているとは思わなかったのか、小夜さんは少し驚いて目を見開いた。

なるほど。
以前から日本で働きたかったのか。
自分のルーツというか、母親の生まれた国を知りたい気持ちもあったのかもしれない。

ほんの一瞬だけ追って来てくれたのかもしれないと思った私の、なんて浅はかなこと。
小夜さんに気づかれていないとはいえ、恥ずかしさに顔から火が出そうになる。


「ミナ?」

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