いざ、2次元の世界へ
「ところで、南はどうしてここに?」
不思議そうに聞くが、こっちが聞きたいくらいだ。
「私はリビングの原稿を手に取ったら、気付いたらここに来てたの。そう言うお母さんは?」
「私はよく来ているのよ。設定が分からなくなったり、アンナの気持ちを知りたくなったときとかね。ここは便利よ、思い通りに出来るんだもの」
思い通りに出来る…。
はたして、それが必ずしも便利だと言えるのだろうか。
確かにお母さんの作った世界なのだとしたら、お母さんが一番偉いのは当然。
だがしかし、この世界の住人に心や思いがないとは限らない。
少なからず、ちゃんと意思を持った人に3回も出会っている。
彼らには、このままではいけないという強い願いがあったから、私もここまで来れた。
その思いを、私は無駄にはしたくない。