いざ、2次元の世界へ


「どうして、彼に?」


お母さんが聞く。


「この世界に来て、一番最初に出会ったのがカエデなの。最初は、私のことをひどく怯えていて、嫌な奴だと思ったりもした。でも、それがアンナに対する思いが一番強いからだと気づいてからは、本当に好きなんだなぁって思って…一番年下だし、天然なところもあるけど、カエデなら、アンナを幸せに出来る気がする」


「南…」


私の名を口にすると、光の速さでやってきて体に抱きつく。


「ごめん、南! 僕、南のこと、ずっとアンナの連れ去りだと思ってて、ひどいことした! 本当にごめん!」


胸の中で泣きつくカエデは、子供っぽくて、可愛いと思えた。


「なのに、南は僕を選んでくれた! そんな風に思ってくれた! それだけで、十分に嬉しい。ありがとう…南っ!」


「ううん、私のことは気にしないで…アンナと、幸せになるんだよ」


「もちろんっ!」


その瞬間、カエデはとびっきりの笑顔を見せてくれた。


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