絶叫脱出ゲーム③~クラスカースト~
それを見て、ハッとする。


まただ。


また、クラスで立場の弱い人間が優位に立っている。


「でたよ、友情!」


そんな中、酒本君が冷やかしの声を上げた。


公恵が死んだと言うのに悲しそうな表情は一切していない。


2人が酒本君へと視線を向ける。


「最初に俺が目ぇつけてたのはお前だもんな、薮木!」


その言葉にあたしは目を見開いた。


薮木君は下唇を噛んで俯いた。


それは酒本君の言葉を肯定しているようなものだった。


「なんで、薮木君が……?」


彩美が信じられないという様子で薮木君を見ている。


「こいつ、入学早々俺の上履にジュースこぼしやがったんだ。イジメてくださいって言ってるようなもんだろ」


酒本君はそう言い、ゲラゲラと大きな笑い声を上げた。


そんなことがあったなんて、知らなかった。


故意じゃなくても、酒本君なら薮木君をイジメのターゲットにしても不思議ではない。
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