絶叫脱出ゲーム③~クラスカースト~
その声にハッとした表情を浮かべる彩美。


こちらを向き、今にも泣きそうな表情になる。


「彩美! 絶対に負けないで!」


そう言うと、彩美はあたしから視線を外して2人に向き直った。


2人は自分の体が思うように動かない事に苦戦している。


きっと、<mother>がなにか操作しているんだ。


この試合を彩美に勝たせるために。


どうしてこの試合の勝者が彩美なのかわからないけれど、<mother>が味方についてくれているのなら、なにも心配することはない。


彩美は拳を強く握りしめて2人へ向かって襲い掛かった。


背も低くて力も弱い。


そんな彩美が2人を殺すなんて考えられない事だった。


だけど彩美は頑張っていた。


顔を涙でグチャグチャに濡らしながら、発狂しながら松田さんの首を絞める。


松田さんは細かく痙攣を起こしていたが、すぐに動きを止めた。


「あと1人……」


あたしは思わずそう呟いていた。


八坂さんを殺せば彩美の勝利だ。


しかし彩美はすでに力尽きているのか、肩で大きく呼吸を繰り返すばかりだ。
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