絶叫脱出ゲーム③~クラスカースト~
マキヤはそう言い、目にたまった涙がボロボロとこぼれ出していく。


そうなったらもう止められないのか、涙腺が崩壊したように次から次へと涙がこぼれ落ち始めた。


「ちょっと……」


なぐさめるべきか悩み、あたしは顔をしかめる。


こんな時に泣き出すなんて予想外だ。


マキヤならあたしの為に死んでくれる。


そう考えていたけれど、マキヤは案外臆病だったようだ。


マキヤは涙をこぼしながらその場に座り込んでしまった。


「ちょっとマキヤ……」


あたしはマキヤの前に座り込んでその肩を叩いた。


部屋の外からは「なにしてんだよ!」と、中尾君の罵声が飛んできている。


こんな戦い<mother>には見せられない。


あたしはきっと幻滅されてしまうだろう。


「朱里、なぁ頼むよ、一緒に死んでくれよ!!」


顔を上げたとたんそう叫ぶマキヤ。


あたしは驚いて目を見開き、咄嗟にマキヤと間合いを取った。


「な、なに言い出すの……?」


「だって、せっかく両想いになったのにここで離ればなれになるんだぞ!?」


マキヤが叫ぶ。


同時にクラスメートたちがざわめくのが聞こえてきてあたしはグッと奥歯を噛みしめた。


この、クソ野郎!! 余計なこと言いやがって!!


彩美のように頭がいい子なら、あたしがマキヤの気持ちを利用しようとしていることがすぐにわかるだろう。
< 137 / 190 >

この作品をシェア

pagetop